木工プロジェクト 1 ワークスペース
安いものを買って、不要になったら捨てていくような文化が嫌になっていました。 安いからという理由で買って、安いからという理由で捨てられてしまう。 安いものでも木材をつかっていれば同じ木材です。 下請けの下請けにつくらせて安く大量に生産し安く売る。 そんな愛情がないつくられかたをされた製品は、買った人も適当に扱って捨てられてしまう。 このサイクルに自分も入ってしまっていることに抵抗がありました。
Woodworking Project 1 Workspace
I grew tired of a culture where people buy cheap items and discard them when they’re no longer needed. Products that are mass-produced cheaply through layers of subcontractors, without any care or affection in their creation, are treated just as carelessly by those who buy them and eventually thrown away. I felt resistance to being part of this cycle myself.
そういった消費サイクルから、自分が抜けたいという気持ちがあり、捨てなくて良く、集中できる制作環境をつくることにしました。 そうすれば自分で直してずっと使うことができます。 デザインも決められる。 自分にとって心地よい空間は、天然の木材や、石、鉄などに囲まれていて、完全に人工的ではなく適度に手作り感がある空間でした。 細かなものまでできるだけプラスチックをなくし、自然素材のもので手作りで増やしていきました。
I decided to create a productive environment where I wouldn’t have to throw things away and could fully concentrate on my work. This way, I could fix and reuse everything for as long as needed. For me, a comfortable space is one surrounded by natural materials like wood, stone—something not entirely artificial, with just the right amount of a handmade touch.
家具より重要なのは、壁や床と考えていたので、床を無垢材にしました。 ですがそれだけだと全体として違和感があり、壁紙をやめて、ペンキ塗りにする必要がありました。 でもそれでもまだおかしく、樹脂製の窓に違和感がありました。 それで窓も木でフレームをつくって、樹脂製の窓から木製の窓にしました。 木工日記では紹介していないのですが、木の窓枠をつくったのが実は空間に一番効果があったかもしれません。
I always believed that walls and floors are more important than furniture, so I decided to use solid wood flooring. However, just changing the flooring created a sense of imbalance, so I replaced the wallpaper with painted walls to achieve a cohesive look. The resin windows also felt out of place. To address this, I built wooden frames for the windows, effectively transforming them from resin to wood-framed windows.
このプロジェクトを始めたころは、道具の使い方も全くわからず、まさに“No Future”な状態でした。 それでも、インターネットで情報を調べたり、試行錯誤を重ねたりしながら、少しずつ作り方を覚えていきました。 そんな初心者の私でも作れたプロセスやアイデアは、木工日記で紹介していますので、ぜひ覗いてみてください。 ちなみに、道具をすべて揃えるのは負担が大きかったので、祖父の家に眠っていた工具をつかうことができました。
I gradually learned how to make things by researching information online and going through trial and error. The processes and ideas that even a beginner like me could manage are shared in my woodworking diary. By the way, since gathering all the tools would have been a big burden, I was able to use the tools that were lying unused at my grandfather's house.
このプロジェクトは、冒頭でお話しした通り、エコロジーを意識して進めました。 無垢材を使うと、補修しながら長く使い続けることができます。 実際に作るまでは、そのことにも気づいていませんでした。 無垢材は時間とともに少しずつ形や表情を変えていきます。 その変化には難しさもありますが、それ以上に楽しさや愛着を感じます。 そうした木の温かみは、日々の暮らしに穏やかさをもたらしてくれる存在だと実感しています。
Using solid wood allows you to continue using it for a long time while making repairs as needed. I didn't realize this until I actually made something myself. Solid wood gradually changes its shape and character over time. While these changes can be challenging, they bring even more joy and a sense of attachment. The warmth of the wood is something that brings a sense of calm.
「一酸化炭素が充満してやがる。 悪くねぇ。 」 — The Clash, ”Garageland”。 車庫に塗料の匂いが充満してきたら、こう言ってみましょう。 適度に手作り感がある空間で、音楽も楽しく聴けます。 オーディオはいろいろ調べて Cambridge Audio Azur 650aを探し、スピーカースタンドも自作しました。 収納家具もすべてDIYしました。 プリンターキャビネットやペーパーシェルフ、サスペンションファイルフレームは珍しいと思います。
"Carbon monoxide makin' sure it's effective" — The Clash, “Garageland.” When the smell of paint starts to fill your garage, try saying this. In a space with just the right amount of handmade charm, music sounds even more enjoyable. I did a lot of research on audio equipment and found the Cambridge Audio Azur 650A, and I built the speaker stands myself. I also made all the storage.
よく「あの家具づくりは、なんなのでしょうか?」と、聞かれるのですが、一言で言えば、仕事にも生活にも良い影響を与えてくれる大切な活動だと思っています。 デザインも開発も行う僕の仕事は、ただでさえ説明が難しいのに、木工が加わることでさらに難解に。 でも、木工は僕にとって、ものづくりの楽しさに立ち返るような行為であり、仕事の質を高めてくれる欠かせない存在です。 そのプロセスや楽しさは、木工日記で紹介しています。
I often get asked, "What is furniture making all about?" In short, I believe it's an important activity that positively impacts both work and daily life. For me, woodworking is an act that brings me back to the joy of creating things and is an essential part of enhancing the quality of my work. The process and enjoyment of it are shared in my woodworking diary.